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純文学オススメ作品「蛇を踏む」【第115回芥川賞受賞作】

nakumi

私はこの作品で純文学の自由さを知りました。

今回オススメする純文学作品は川上弘美さんの「蛇を踏む」という作品です。

私はよく友達とかに「オススメの純文学作品は?」と聞かれると、

最初にこの本が頭をよぎりますが、オススメはしません。

なぜなら、この作品を説明するのは、とても難しいからです。

でも今回は、出来る限りこの作品の魅力を伝えれるよう頑張りたいと思います。

【本の説明】

『蛇を踏む』(文春文庫) 川上弘美



この本は「蛇を踏む」、「消える」、「惜夜記」の3編がおさめられた短編集です。

本日紹介するのはその中の「蛇を踏む」で、第115回芥川賞受賞作でもあります。



【作者の過去の受賞歴】

川上弘美さんの過去の受賞歴を以下に一覧にしておきます。
素晴らしい経歴ですね…笑

第1回パスカル短篇文学新人賞(1994年)『神様』
第115回芥川賞(1996年)『蛇を踏む』
第9回紫式部文学賞(1999年)『神様』
第9回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(1999年)『神様』
第11回伊藤整文学賞(2000年)『溺レる』
第39回女流文学賞(2000年)『溺レる』
第37回谷崎潤一郎賞(2001年)『センセイの鞄』
第57回芸術選奨文部科学大臣賞(2006年度)『真鶴』
第7回耀く!ブランチBOOK大賞(2008年)『風花』
第66回読売文学賞(2014年)『水声』
第44回泉鏡花文学賞(2016年)『大きな鳥にさらわれないよう』
紫綬褒章(令和1年/2019年)

作家デビューして2年後にもう芥川賞を受賞しているのも驚きです。


【あらすじ】

ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。

この本の書き出しはこの一文です。その後、

「踏まれたので仕方ありません」人間のかたちが現れ、人間の声がして、蛇は女になった。
・・・・・・
部屋に戻ると、50歳くらいの見知らぬ女が座っている。「おかえり」と当たり前の声でいい、料理を作って待っていた。「あなた何ですか」という問いには、「あなたのお母さんよ」と言う……。

踏まれた蛇は人間の姿になります。
こうしてこの話は始まります。

書き出しの素晴らしさ

タイトル通り、書き出し一行目から、さっそく蛇を踏みます

ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。

突然の一文ですが、川上弘美さんの小説の一行目は、毎回その小説の世界にグッと力ずよく引き寄せてくれます。

川上弘美さんの文章には握力があると私は思います。

グッと小説の世界に首元を持って引き寄せてくれるこの一行目が特に素晴らしいと私は思います。

しかもその後、

蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。

と、蛇を踏んだ足に伝わる感触を伝える一文もあります。

実際に私は蛇を踏んだことはないですが、この表現に何となく共感してします。

当時、この文章を初めて読んだ時、
体験したことがないことをあたかも体験しているような感触を伝える、とても素晴らしい表現だと感心した覚えがあります。


ストーリー

この本のストーリーとしては、蛇を踏んだ主人公と、踏まれて母と名乗る蛇、
そして主人公の職場で働く夫婦の話です。

全員が不思議な距離感で物語は進みます。

ストーリーに関しては、純文学においてはあまり意味を持たないかもしれませんが、
終始淡々と話は進んでいく印象があります。

蛇が人間になろうとも、それがトピックではない、と言った感じです。


普通のエンタメ小説であれば、蛇が人間になったら、蛇が人間生活で苦労する場面を描いたり、
蛇が人間になった原因を突き止めようとしたりすると思いますが、

そんな野暮なことはしません。

そこが純文学の素晴らしい点だと私は思います。

表現したいことが濁るような、変な補足や言い訳を書かない、

そういったところが純文学のカッコよさだと思います。


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まとめ

川上弘美さんの小説はどれも、小説の世界に引き込む、握力が強い作品が多いです。

また次回は違う作品を紹介したいと思います。


純文学について興味があるけど、純文学のことが良くわからない、と言う方は
こちらの記事をご参照下さい。


今回は「純文学のオススメ作品」について説明しましたが、
『純文学』特化メディアの「ブンガクブ」では、オススメの純文学はもちろん、芸術や文化、歴史など純文学をより楽しめる情報についてもわかりやすく解説しています。
是非、他の記事もご参照下さい。
今回は、見てくださいありがとうございました。

終わり

  • この記事を書いた人

nakumi

1992年生まれ。京都府京都市在住。 中学校の頃から小説を読み始めて、 学生時代は月に100冊読んでいました。 特に純文学作品が好きで、 純文学に特化したwebメディア『ブンガクブ』を立ち上げました。

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